東京の河童は相撲しない

日記とか備忘とかそんなやつ

小野不由美 「残穢」

残穢」は2012年に出てハードカバー買ったけど、ハードカバー持ち歩くの辛くて読まないまま放置してて、今年文庫が出たのを買いなおしてやっと読んだ。

「穢れは場に残り、伝染する。」というホラー小説。

例えば、今自分が住んでる部屋で以前自殺や殺人があったとしたら。新築のマンションに住んでたとしても、そのマンションが建つ前にあった家で事件が起きていたら。その穢れは後にそこに住む人に伝染し、その人がどこかに行くことで穢れを別の場所に持ち込み、その場所が穢れる。

事故物件に1ヶ月だけ住むバイトがあるとかないとか聞くし、気にしないとか霊感が無いとか言ってもやっぱり気持ち悪いよね。怪談話をすると怪現象が起きるみたいな話もあって、あとがきで「この本は持っていたくない」とか言ってるけど、うち文庫とハードカバーで2冊も持ってんだけど…

山本周五郎賞を取ってて怖いホラー小説として結構話題になってたけど、個人的にはそこまで怖くはなかったな。基本的に人から体験談を聞き集めるスタンスで話が進むから怖い話と自分(読者)との間にもうひとつフィルタがかかってるし、恐怖のクライマックスみたいな盛り上がりも無いからサラッと終わる。まぁそのフィルタを越えて伝染してくるっていうのが「リング」を映画で観るような感覚と同じシステムなんだけどね。

そういえば「残穢」も映画化されるので、本の中での体験談を映像で表現できれば直接的な恐怖に結びつくかもしれないな。ちょっと期待。